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縫い穴の決め方 ── ピッチと「余り」の置き場所
このページには v4.2.0 以降の新機能が含まれます。
固定ピッチの「余り」の選択(終端へ/両端へ均等/数箇所で調整)と「調整上限」は v4.2.0 で追加されたものです。それより前のバージョンでは、固定ピッチの余りは常に進行方向の終わりに残ります。ピッチの測り方(直線距離/道のり)と打ち方のモードは、以前からある機能です。
ステッチツールの設定は、見た目ほど複雑ではありません。独立した三つの問いに分かれていて、それぞれが別のことを決めています。
- 間隔を何で測るか
- ピッチを動かしてよいか(動かさないなら、余りをどこへ置くか)
- 角をどう扱うか
このページの図はすべて、実際のアプリが計算した穴の座標をそのまま描いたものです。
図の読み方
その図の基準どおりの目は細い線、基準より長い目はオレンジ、短い目は緑の太い線で結んであります。端の余白は破線、図形のつなぎ目は灰色の丸。自動ピッチの図はすべての目が同じ長さなので、印はありません。
① 間隔を何で測るか
直線距離は、穴と穴を結ぶまっすぐな長さを揃えます。二本刃の菱目が測っているのはこれで、縫い上がったときに目に入るのも糸——つまり直線です。ステッチラインそのものは縫い上がりでは見えません。
道のりは、線に沿った長さを揃えます。同じ でも、曲がっている所では穴どうしが見た目に詰まります。
下は R3 のきついカーブを で打ったもの。表示している数字は、どちらも穴と穴の直線距離です。
直線距離(既定) — カーブでも直線部でも、穴と穴の距離は同じ。
道のり — カーブの上だけ 詰まります。半径が小さいほど差が開きます。
② ピッチを動かしてよいか
線の長さがピッチでちょうど割り切れることは、まずありません。50mm を 4mm で打てば 12目ぶんの 48mm で、 余ります。この をどうするか、という話です。
自動ピッチは、目の数を丸めてピッチのほうを動かします。ずれは全部の目に薄く配られて消えます。ふつうはこれでかまいません。
固定ピッチは、ピッチを指定どおりに保ちます。本物の菱目打ちは刃の間隔が決まっていて伸び縮みしないので、道具に合わせて打つならこちらです。そのかわり余りが必ず残るので、どこへ置くかを選びます。
自動ピッチ — 13目。ピッチが になり、余りは消える。
固定 / 終端へ — 従来の挙動。最後の一目だけ に詰まります。いちばん目につく所に、余りが全部たまる形です。
固定 / 両端へ均等 — ピッチは のまま、列ぜんぶを ずつ内側へ。端に穴は来ません——余白を取るとはそういうことです。
固定 / 数箇所で調整 — 両端はぴったり。ずれを 2目だけに集めます。まっすぐな線には隠し場所が無いので、いちばん離れた位置へ。
③ 角があると、どう変わるか
実際の型紙はまっすぐな一本ではありません。下は 60 × 38mm の縫い線(角は R2 のフィレット)。角には必ず穴を置くので、線は角で区切られ、区間ごとに余りが出ます。
そして調整箇所は「曲がっている目」から選ばれます。直線の上では目の詰まり・空きが隣と見比べられてすぐ判りますが、カーブでは元々見え方が歪むので判らないからです。
終端へ — 角の手前ごとに半端な目が残ります。
両端へ均等 — 両端とも ずつ内側へ。角に挟まれた底の区間だけは端が無いので、そこは下と同じ規則で吸収します。
数箇所で調整(調整上限 2) — 四つの調整がすべてフィレットの上に乗り、直線の上にはひとつもありません。
調整上限を変えるとどうなるか
上限 1 — 区間ごとに一箇所きり。そのぶん一目あたりのずれは大きくなります。
上限 3 — 上限 2 とまったく同じ結果になります。上限は割り当てではありません——隠せる曲がりが二つしか無い区間なら、三つめは作りません。
④ 角をどう扱うか
三つめは、線が折れたり曲がったりしている所に穴を置くかどうかです。下は 直線 → 直角 → 直線 → R6 のなめらかな曲がり → 直線 という一本の線。灰色の丸が図形のつなぎ目で、そこに穴が来るかどうかを見てください。
均等 — つなぎ目を見ません。線ぜんぶを等分するので、直角の頂点にも穴は来ません。
スマートコーナー(既定) — 直角には穴。なめらかにつながっている二つのつなぎ目は角として扱わないので、素通りします。
全ジャンクション — 三つのつなぎ目すべてに穴。区間ごとに独立して割るので、短い弧では目が広がります。
どれを選ぶか
| やりたいこと | 設定 | ひとこと |
|---|---|---|
| とくにこだわりがない | 自動ピッチ / 直線距離 / スマートコーナー | 既定のまま。ピッチは指定値の前後 2〜3% に収まります。 |
| 手持ちの菱目打ちで打つ | 固定ピッチ | 刃の間隔は伸び縮みしません。あとは余りの行き先を決めるだけ。 |
| 端の余白を揃えたい | 固定 / 両端へ均等 | 端に穴は来ません。一本の線でも、角をまたぐ線ぜんぶでも、余白は同じ値に揃います。 |
| 端にきっちり穴が欲しい | 固定 / 数箇所で調整 | 両端と角はぴったり。ずれはカーブへ逃がします。 |
| コバを一周ぐるりと縫う | 固定 / 数箇所で調整 | 閉じた輪に「両端」はありません。「両端へ均等」を選んでも、こちらの規則で処理されます。 |
| 糸の見た目を最優先 | 直線距離 | 目に入るのは糸=直線です。既定。 |
| 図面上の距離で管理したい | 道のり | 線に沿った長さが揃います。カーブでは見た目が詰まります。 |
覚えておくと迷わない三つ
カーブの上では、定規で測るとピッチより長い
R5 のフィレットの上で の直線距離は、線に沿って測ると あります。図面の上で目と目のあいだを線なりに測って「1目ぶん空いている」と見えても、実際は空いていません。ピッチは直線距離です。
角には必ず穴が来る
だから角に挟まれた区間は「両端へ均等」にできません(余白を置く端が無いため)。その区間だけは「数箇所で調整」の規則で処理されます。ピッチを指定どおりに保つ、という約束のほうを優先しています。
調整上限は、上限であって割り当てではない
隠せる曲がりが上限より少なければ、その数で済ませます。数合わせのために、まっすぐな所へ一目を置いたりはしません。そこは作品でいちばん目立つ一目になるからです。